huluで日本アカデミー賞特集をやっていたので、過去にアカデミー賞を受賞した映画を色々と見ていました。
元々邦画の持つ空気感というか、空気感や間合いみたいな物が大好きでなんですが、日本アカデミー賞を受賞している映画だけあって、どの映画も”空気感”を存分に感じさせてくれて、あらためて“邦画良いなぁー”と思わせてくれました。
何本か見た中で【泣いてしまった映画】【ゾッとした18禁のホラー映画(サイコサスペンス)】【ふつふつとあたたかい気持ちが湧いてきた”ほっこり”する映画】この3本を個人的な感想を交えつつ紹介したいと思います。
何か面白い映画ないかなー、っとお探しの方。自信を持っておすすめできる映画ばかりなので、是非参考にしていただけると幸いです。
※wikiからあらすじを引用したりしていますが、ネタバレはありません。
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第35回日本アカデミー賞で最優秀賞を受賞。
端的に一文で表すと「これ、いかんやつや…。これ、いかんやつや…。ブビー(鼻をかむ音)」
希和子に「薫」と名付けられた秋山恵理菜(井上真央)は、4歳の時に希和子が逮捕され保護されるが、本当の親を親とは思えずギクシャクした家族関係や世間の好機の目にさらされて成長し、大人になってしまう。
成長していく過程で、家族間がギクシャクしているのは自分のせいだと思い込んでしまい、母親だと思っていた希和子と過ごした楽しかった4年間を思い出す事に後ろめたさを感じ、徐々に記憶を封印してしまう…。
物語は現代と誘拐され希和子と過ごした4年間をザッピングしながら、徐々に記憶を蘇らせていく秋山恵理菜の姿を描きながら進行していく。
下記エントリーでも書いたのですが、来月結婚して6歳の男の子の父親(継母)になります。八日目の蝉では誘拐した子供を、自分の子供以上に愛情をもって育てる、野々宮希和子(永作博美)の姿が描かれていたのですが、母子二人で1日、1日を愛情たっぷりに切実に生きていく姿が、奥さんと子供にオーバーラップしてしまって、泣けるとか泣けないとかのレベルじゃなく、涙腺が大決壊でした。
映画なので、よりドラマティックに見せている部分があると思いますが、それを差し引いても母子二人で暮らしているところに、僕を入れてくれるありがたさ、その判断の重さみたいなものをあらためて感じました。
huluの日本アカデミー賞特集の中にあったので、何回目を受賞しているんだろうと調べてみると…【第35回日本アカデミー賞・最優秀助演男優賞(でんでん)】
そっちにかかってるんかいっ!と微妙に一人ツッコミを入れると同時に、様々な映画賞を受賞している事に納得。
端的に表すと「グロいし、苦手な映像なんだけど…ドストライク!やめられない、止まらない」
死別した前妻の娘と現在の妻。その折り合いの悪い二人に挟まれながらも、主人公の社本信行は小さな熱帯魚店を営んでいた。
波風の立たないよう静かに暮らす小市民的気質の社本。だが、家族の確執に向き合わない彼の態度は、ついに娘の万引きを招く。
スーパーでの万引き発覚で窮地に陥る社本だったが、そんな彼を救ったのはスーパー店長と懇意のある村田だった。村田の懇願により店長は万引きを許す。さらに大型熱帯魚店を経営する村田は、娘をバイトとして雇い入れる。
その親切さと人の良さそうな男に誘われて、社本と村田夫婦との交流が始まる。しばらくして、利益の大きい高級魚の取引を持ちかけられる社本。それが、村田の悪逆非道な「ビジネス」を知り、同時に引き返せなくなる顛末への引き金となった。
映画を見始めると冒頭に「18禁」のテロップが。冷たい熱帯魚…あぁ、エロいやつか。
来月結婚する身としては、エロスが評価されている映画がhuluの視聴履歴に表示されると、いろいろと困るわけですよ。聞かれてもいないし、やましくもないのに「これはな…」なんて言い訳をしている自分の姿がありありと目に浮かびます。
「冷たい熱帯魚」というタイトルに惹かれて映画を見始めようとしていたので、スパッと諦めることができずに、画像検索してみようと思ったんです。決してどんなエロい画像が表示されるかな♪とか思ってたわけではないんですよ(切実)。
で、画像検索をしてみたところ、衝撃の検索結果が。
血の海とかしたお風呂場で肉塊(恐らく人間)を解体している笑顔の中年夫婦。
瞬間的に「あ、これだめなやつだ」って思ってブラウザの閉じるボタンを押して、頭のなかを整理します。で冷たい熱帯魚のwikiを見てみるとホラーって書いてあるじゃないですか!
誰だよエロいとか言ったやつ!ちょっと出てこいよっ!
はーい
諦めて別の映画を観ようとhuluのライブラリーを見てみるんですが、”映像”と”ホラーという文字”が頭にこびりついて離れません。実はスプラッター映画は苦手ですが、ホラー小説は大好物なんです。そしてホラー小説の中でも「黒い家」が大好きで、wikiに書いてあったあらすじから、何となく近い雰囲気を感じ取っていました。
ビールを飲みながら1本映画を見終わった後だったので、スプラッターよりだったら途中でやめればいいし…。と勢いで再生ボタンを押しました…。
グロいシーン(風呂場で殺害した人を細切れに解体している)は相当気持ち悪いです。しかし、それほど不快感も恐怖も僕は感じませんでした。それが何故かというと、リアリティがないとかカメラを通して観ているからとか、そういったことではなくて、必然性が感じられたからです。
もちろん殺人に必然性なんてないと思いますが、役者さんの演技が相当に絶妙で、映画なんだけど映画であるからこそのリアリティが感じられる、あの感じ。
【ヒミズ】を観た時に感じた、映画なんだけど映画であるからこそのリアリティ。あれと似たような印象を持ちました。上手く言えなくてすいません。
人や観るシーンを選ぶ映画と思いますが、面白いです。終わりまでノンストップでした。
第37回日本アカデミー賞で最優秀賞を受賞。
端的に一文で表すと「映画を見終わった後、奥さんの手をそっと握りたい気持ちが湧いてくる。そんな映画」
出版社・玄武書房では中型国語辞典『大渡海』の刊行計画を進めていた。営業部員の馬締光也は、定年を間近に控えて後継者を探していた辞書編集部のベテラン編集者・荒木に引き抜かれ、辞書編集部に異動することになる。社内で「金食い虫」と呼ばれる辞書編集部であったが、馬締は言葉への強い執着心と持ち前の粘り強さを生かして、辞書編集者として才能を発揮してゆく。
【船を編む】不思議なタイトルですよね。「船」という単語が出てくるので、「海」に関係するお話かと思ったら、「言葉の海」に関するお話でした。
何万語も存在する言葉の海を渡る船「大渡海」という辞書を、果てしない12年間という年月をかけて編集していく過程を描いています。
人とコミニケーションをとる事にあまり興味を示していなかった、主人公「馬締光也(松田龍平)」が言葉は人に気持ちを伝えるためにあり、その言葉を編集している事に気が付き、積極的に人と関わりを持とうとしたりヒロイン「林香具矢:宮﨑あおい」に恋をしたり。
12年間という期間を訳2時間という時間の中に映画として落とし込んでいるのですが、密度が薄まるといった事は決してなく、空気感や間を大切にしながら、シーンシーンをしっかり描写しています。
「大渡海」に掲載される言葉の中で主人公や、登場人物が注釈をつけた特徴的なものを幾つか抜き出してみます。
成就すれば、天にものぼる気持ちになる。
主人公、馬締光也(松田龍平)が注釈した恋という言葉。一見普通の注釈に見えるかもしれませんが、映画を見るとこれが実に味わい深い注釈になります。
辞書を編集するだけでなく、登場人物とストーリー、そして言葉が紐ついていく何とも言えない心地よさ。
上司役の西岡正志をオダギリジョーが演じています。酒と女が好きで人とコミニケーションを取ることに全く躊躇しない20代後半~30代前半のサラリーマン、という役柄なのですが、これがまたすごく良かった。
【恋】も素敵ですが西岡正志が注釈を書いた【ダサい】。ぼくはこちらの方に親近感を感じてしまい、あぁ俺ってダサいだけど悪くない【ダサい】バンザイ!と映画を見てない人からするとナンノコッチャ状態になりました。
限定的な例えですが「バカボンド」の登場人物、「また八」が好きな方にこの映画の【ダサい】は刺さりまくると思います。
本の編集者が主人公ということで、もしかしたら神保町が舞台なのかな?と思っていると、歓迎会のシーンで見慣れた居酒屋が…。
よく利用している神保町にある「酔の助」という居酒屋が撮影に使われていました。さらにヒロイン役の宮崎あおいさんが湯島(千代田線の駅)に努めている設定だと聞いて、宮崎あおいが湯島に…。なぜだかわからないけど、ドキがムネムネして止まらなくなったり。
僕の生活エリアが舞台になっていたことで、尋常ではない没入感を経験しました。いやー、たまらん。
大きく脱線しましたが、人と関わりあって何かを作っていく事。巡り逢いの大切さだったり、時の流れの無常さなど、普段何気なく生活していると忘れがちな、でも本当に大切なものを映画を通して再確認できる、そういう映画だと思います。
大切な人と一緒に観る映画をお探しの方に超おすすめです!
日本アカデミー賞を受賞している映画だけあって、紹介した3本の映画には「空気感」や「間」といった、、邦画の良さをギュギュっと絞ったエッセンスがふんだんに感じられ、やっぱり邦画が好きだわと再確認しました。
もし「日本の映画でおすすめ」の物をお探しでしたら、紹介した3本の映画を候補に加えていただけると幸いです:)
映画って本当にいいものですね!それでは、さよなら、さよなら、さよなら。
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