「STAND BY ME(スタンドバイミー) ドラえもん」を3D映画館で見てきました。今年観た映画で一番面白かったかも知れません。観終わった後、ドラえもんの世界を「体験した」と言うのが、率直な感想でした。映画館で観てよかったと心から思いました。
ネタバレにならないように、ストーリーにはあまり触れずに感想を書いていきたいと思います。
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「STAND BY ME(スタンドバイミー) ドラえもん」はアニメや漫画と同じく、のびた君のダメな未来(ジャイ子と結婚、会社の倒産、多額の借金)を変えるために、孫のセワシ君がドラえもんをのびた君の元に送り込むところからスタートします。
ドラえもんとのびた君の出会いから描かれているので、もしドラえもんを見たことがない、という人でも問題ありません。
漫画やアニメと1点だけ違うのは「のびた君が幸せになるまで未来には帰ってこれない」「のびた君が幸せを感じると、未来に帰りたくなくても帰ってこなければならない」というプログラムをセワシ君がドラえもんに組み込んでいるところです。
始めは何か変なルールがあるぞ、と違和感を感じていたのですが、明確な目的を設定する事で95分という短い時間の中で、ドラえもんの魅力を十分に魅せるための最高のアイデアだったと思います。
ドラえもんは1話区切り(アニメだと1話15分)でお話が区切られていて、どの話から観てもその話の中で起承転結が描かれていておいてけぼりを食らうことがない、といった形になっています。
映画の中では複数の1話完結型の話を95分の中でストーリーとして落とし込み、違和感なく95分の中の起承転結としているのは、単純にすごいな、と思いました。
もしもドラえもんが1話完結でなく、ドラゴンボールやワンピースの様に尺の長いお話として描かれていたら、こんなふうだろうなといった感です。
映画オリジナルの要素はセワシ君がドラえもんに施したプログラムくらいで、原作の話を壊すことなく、うまく「スタンドバイミードラえもん」として取り込みながら、のびた君を幸せにするという目的に向かって話が進んでいきます。
ネタバレにならないように書くと、ドラえもんが好きな方はピンとくるであろう、コミックス6巻に掲載されているお話や、未来の雪山でしずかちゃんが遭難してしまうお話。「のびた君の幸せ」というキーワードでドラえもんのお話をピックアップした場合、重要になってくるお話がストーリーに落とし込まれています。
このエントリーの初めで「ドラえもんの世界を体験したと言うのが、率直な感想でした。」と書いたのですが、その理由を書きたいと思います。
服には服というか布としての質感を感じ、水には水としての質感、髪の毛には髪の毛としての質感、家には家としてのリアルさ、街には時間によって変化する街の息吹。
上げていくとキリがないんですが、アニメや漫画では絶対にみえてこない、完成されているジオラマを見た時のような、その世界が完成しているからこそ感じられる、嘘くささのないリアルさがあります。
「STAND BY ME(スタンドバイミー) ドラえもん」のDVD(BD)が発売されれば、買うと思いますが、恐らく映画館でしか体験できないものがあると思うので、ドラえもんが好きな方は是非、映画館で観てほしいです。
STAND BY ME/スタンドバイミードラえもん 劇場一覧
学生の頃、タケコプターがあればなー、なんて考え始め、授業している教室の窓際にいる自分を空から眺めたことが何度もある僕にとっては、衝撃的な映像がありました。タケコプターを付けて飛べます!というのは大げさですが、タケコプターを付けて飛ぶってこんな感じなんだなー、っていうのを体験できます。
のびた君が初めてタケコプターで飛ぶシーンがあるのですが、前述したドラえもんのリアルな世界がある上で、空を飛ぶシーンが主観映像で表示されるため、まるで自分がタケコプターを付けて飛んでいるような体験をすることができます。
このシーンを見ている時、ずっとワクワクしすぎて自分の口角が上るのを抑えられませんでした。
遊園地にある、スクリーンの映像に合わせて観客席が動く、ジェットコースター?と似ているな、と思いました。
映画を見に行く電車の中で、GoogleNowを見るとこの記事がピックアップされていました。恐らくチケットの予約を携帯からしたので、ピックアップされたんだと思います。GoogleNowすげー!
3DCG映画『STAND BY ME ドラえもん』制作秘話 – スタッフが追求した徹底的な「リアル」とは
CGは”汚し”をいれると使用感が出てリアルになりますが、ひみつ道具は未来のきらきらした世界からきた道具。だから、汚しを入れるのはちょっと違う。デザインを単に原作通りの形にするのではなくて、未来の家電屋さんが未来の道具を本当に作ったらどうなるか、『未来の家電』をキーワードに考えました
この部分に想像をかき立てられていたので、秘密道具がどんな感じで表現されているのかも注目して観ていたんですが、ずばり未来の家電でした。数多く秘密道具が出てくるのですが、個人的に「タイムふろしき」にうならされました。
何って言ったって、「ふろしき」ですからね。ふろしきをどうやって未来の家電に近づけるのか興味深く見ていたところ、バッチリ未来の家電になっていました。見た目はあのまま(時計の柄が入ったふろしき)なんですが、タイムふろしきを使うと時計の柄がホログラムっぽく浮かび上がり、針が進みます。
言葉だと伝わり辛いと思うのですが、もし映画を観に行かれるなら、このあたりも注意しながら見るとより楽しめるかもしれません:)
「いっしょにドラ泣きしません?」が映画のキャッチフレーズになっていますが、映画を見終わってあまりピンときませんでした。
STAND BY ME/スタンドバイミードラえもんの公式サイトを見ると、うるうるしているドラえもんが表示されていて、泣かせます的なメッセージ性が強いのですが、「ドラ泣き」はあくまでスタンドバイミードラえもんの一部であって、この映画はいろいろと楽める部分が盛りだくさんなのに、「ドラ泣き」にだけが押されている状況は、ちょっともったいなく感じました。
はい、ストーリーはわかってるはずなのに、後半は涙がずっと流れている状態でした。のびた君が昔からの友達のようでいて、息子のような。のびた君の一生懸命さに涙が自然と溢れてしまいました。
観ている途中、隣で嫁さんも鼻をスンスンやっていて、5歳になる子供は見終わった後「泣いちゃいそうだったよー」と言っていました。
絶対に泣けるの?と聞かれれば、人によると思います。僕は小さい頃からドラえもんが好きで、大人になった今でも思い立つと、大魔境や魔界大冒険あたりを借りてきて観ています(リメイク版も好きです)。つい先日、漫画版を読み直している途中6巻を読み、泣いてしまいました。僕の様にドラえもんに思い入れがあれば、ある人ほど、確実に泣けると思います。そこまでの思い入れがなくても、ドラえもんを見て育った人であれば、泣いちゃうと思います。
では泣けないのはどういう人なのかというと、例えばドラえもんを知らない海外の人が、スタンドバイミードラえもんを見たとすれば、泣ける確率は半々くらいな気がします。
映画の中で、ドラえもんとのびた君の友情という部分は、最初の導線からラストに至るまで、すごく丁寧に描かれています。ただ、ドラえもんを知らない人にとって95分というのは、感情移入をしきるにはちょっと短い時間のように思えるためです。
あまり深い内容を書いていくと、ネタバレになってしまうので、これ以上書くのをやめておきます:)ドラえもんに対する思い入れの強さに比例して泣ける、泣けないが違ってくると思いますが、ほとんどの人は泣いちゃうと思います。
本当に「STAND BY ME/スタンドバイミードラえもん」を映画館に観に行って良かったと思います。ジャイアンの迫力、ちょっとかわいいスネ夫、パーフェクトなはずの出木杉君が大人になって漏らす一言、しずかちゃんのやさしさ。どれも知っていたはずなのに全てが新鮮に思えて、至福の95分でした。
見慣れてしまったCG映画ですが、スタンドバイミードラえもんは初めてCGを観た時のような感動を与えてくれました。
透明マントをかぶってドラえもんの世界に紛れ込み、間近に彼らを見ているような体験をさせてくれた映画でした。後読感も非常に良く、子供も大人も楽しめるので、是非映画館に足を運んでみて下さい。少し高いですが、3Dがお勧めです!
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