日本よもやま話

プライスレス!値段や価格では表せない魔肖ネロとの思い出

ばあちゃんにもらった100円玉を握りしめて駄菓子屋に走っていたあの頃。
お金を稼ぐすべを持たない僕たちは”給食のデザート、ビックリマンシール、酒瓶のふた(王冠)”といった”物”に対して、自分の達のコミニティで共通の価値観を作り出して、それらと引き換えに掃除当番を引き受けたり、色々な事に”通貨”の代わりとして使っていたよな、すごく楽しかったなー、なんて事を朝の満員電車の中で考えていたこと。

ガタンゴトン、ガタンゴトン…。

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経済の夜明け

当時僕らの間ではビックリマンシールが大流行していました。

ビックリマンシールを集めてニヤニヤ眺めたり、優越感に浸るという側面はもちろん。手に入れたレアシールをいかに良い条件で取引するか、といった資産としての側面も持ち合わせてました。

誰も持っていないヘッド(キラキラシール)を持っていようものなら、”掃除当番1年分”や”給食のデザート1年分”といった夢かと見まごうような好条件が次々に提示され、うまくやればシール数枚で一生遊んで暮らせる財産を築ける可能性があった、夢のような時代でした。

ビックリマンシールで価値観と交渉術を学ぶ

ある時、僕が魔肖ネロというヘッドを当ててしまった事で事件がおこります。

魔肖ネロはこれまでのヘッドとは違いホログラフ処理が施されていて、カードの確度を変えると顔が左右に動きます。これがメチャクチャかっこ良くて、どえらいもんを引き当ててしもた!これは墓まで持って行こうと心に固く誓いました。

僕が魔肖ネロを手に入れたという情報はまたたく間に仲間内で駆け巡り、ランドセル持つよ、青りんごゼリー(給食一番人気のデザート)を卒業するまでずっとあげる、といった好条件が次々に提示されていきます。しかし、魔肖ネロに運命を感じちゃった僕はどんな好条件が提示されようと縦に首をふることはありませんでした。

そんなおり、友達の兄貴からある取引を持ちかけられます。

兄「うわ、ほんまに当てたんやな!」
兄「ちょっと耳貸してみ。」
兄「魔肖ネロって悪魔が12体合体した姿だって知っとる?」
僕「知らん」
兄「今ならエエ話があるんやけどな、魔肖ネロ1枚とその悪魔12枚を交換してあげてもええよ。」
僕「え!?ほんま!」
兄「明日になったらこの話はなしな。今決めて」

“悪魔が12体合体して”という魅惑的な付加価値(後から嘘だったとわかるのですが)と、”今すぐに決めないといけない”というタイマーがセットされたことで、僕の心は大きく揺らぎ始めます。なんと恐ろしい交渉術でしょう。

心の筋肉が削げ落ちてしまうほど悩みぬき、出した結論はNO!

佐藤君の悲劇

しばらくしてこの兄貴に悪魔12枚と魔肖ネロを交換してもらったという友達(佐藤くん)が現れました。

自慢気に交換してもらったカードを見せびらかす佐藤君にほのかな殺意を覚えつつ、やっぱり交換しておけばよかった、チクショーと内心穏やかではありませんでした。

ところが魔肖ネロと悪魔12枚を交換した佐藤君は数日後、泣き叫ぶハメになります。なんということでしょう、交換して手に入れた悪魔12枚は偽物である「ロッチ」のプリントがされていたのです。※本物はロッテ

話によると、佐藤君はすぐさま兄貴に不正な取引だったと交渉に行きましたが、俺がロッチのシールを渡すわけがないだろ!と取り合ってもらえず、挙句の果てに疑うのか?と恫喝されて泣き叫びながら帰って行ったそうです。実に胸のすく思いでした。

また佐藤君が騙されたことによって、「魔肖ネロ=上級生がなんとしても手に入れたたかったカード」という認識が生まれ、仲間内で魔肖ネロの価値がさらに高まり、僕のもとには破格の条件で交換してくれという依頼が次々に舞い込んできました。

子供ながらに恐ろしい世界やで、と思うと同時にこの交渉術と付加価値をうまく使えば…フヒヒヒ。とほくそ笑みました。

掃除当番1年分を稼いだ手口を晒すwww

あの事件で経済のなんたるかを知った僕は、交渉に夢中になります。

まず低投資でシールを集める必要があると考えた僕は、一発ギャグと引き換えに友達から、いらないシールをもらうなどして大量にクズシールを集めました。

交渉する素振りは微塵も見せず、コレクションを自慢するていで集めたクズシールを1枚1枚見せながら、興味がありそうなシールがあると、このシールは一見普通のシールと同じに見えるけど、実はあそこの駄菓子屋から1枚しか出ていない貴重なシール。もったいないけど、掃除当番を○回代わってくれるならあげてもいい。といった感じで、付加価値をつけながら交渉を行った結果、驚くべき成功率で取引が成立していきます。

この方法を使えば、一生掃除当番とはおさらばできると思った矢先、なぜか成功率が激減します。交渉術に問題があると言うよりもビックリマンシールへの興味が急速に薄らいでいっているような印象をうけ、これは得体のしれない大きな力が動き出している…と感じていました。

数週間後、学校の教室ではビックリマンシールに取って代わって「酒瓶の王冠」が共通の通貨として流通していました。

取引が成立してたはずの相手に、掃除当番を交代してくれと持ち出すと「え?あぁ、あのシールもういらんから返すわ。掃除当番もなしな。」といった事が相次ぎ、あのまま行けば億万長者になっていたものを…。誰が商売の邪魔したんじゃ!と怒りに震える僕がいました。

産業革命をもたらした内田兄弟

同じ学年に、けんちゃん、しんちゃんという双子の兄弟がいて、この二人が王冠ブームの仕掛け人だったのです。

そのことを知らない僕は学校の帰り道、兄貴のけんちゃんに商売が失敗した、悔しいという話をしました。その話を難しい顔で聞いていたけんちゃんの口から。

けんちゃん「今から言うこと誰にも言わん自信ある?」
僕「ある!ある、ある、ある!」
けんちゃん「ほな、今日遊びに行く場所を変更しよう。しんたろう(しんちゃん)と迎えにいくわ。」

数十分後、町外れの寂れた倉庫の前に佇む3人の姿がありました。夕焼けと無人の倉庫のコントラストがやけに綺麗で、今でもその光景を克明に思い出すことができます。

道中どこに向かっているのか聞いても教えてもらえず、心なしかしんちゃんは不機嫌に見えました。

僕「帰り道で言うとったこと、はよ教えてや。」
けんちゃん「すぐわかるって、それよりビニール持ってきた?」
しんちゃん「はよ、人がこんうちにはよ取ろう」

そう言ったしんちゃんの目線を追うと、ケースの中には空になった大量の空き瓶。さらにそのケースは天高くどこどこまでも積まれていました。その瞬間、全てを悟った僕はポケットからビニールを取り出し、空き瓶についている王冠へ向かって走りだしていました。

夢中になって王冠を抜き取っている最中、口元に笑みが浮かべながら、自ら通貨を創りだした偉大なこの兄弟に心から賛辞をおくり続けます。

街灯が灯り始めた頃、酒臭い王冠で一杯になったビニール袋を大きく振りながら、数個しか発掘されなかったレアな王冠の価値はどのくらいか、これから一生遊んで暮らせるけど、どんなことしたい?と、夢一杯で家路につきました。

翌週には別の工場から王冠を集めて大量にばら撒いたグループが現れたため、一部のレア王冠以外はゴミのような価値しかない超王冠インフレーション時代に突入するとも知らずに。

まとめ

…ガタンゴトン、ガタンゴトン。

こうやって思い返してみると、小さいころ知らず知らずの内に経済について体験していて、この経験ってすげー大事だったし役に経ってます。

僕は消費者金融からお金を借りたことはありませんし、お金を借りたいとも思いません。ほしいシールや王冠を手に入れるために、今手の内にあるものを交換するのではなく、今手元にない不確かな未来の掃除当番を条件にしてしまった友人が毎日嘆きながら、掃除をしている姿を目の当たりにしていたので、今欲しい物を手に入れるために未来の約束を引き換えにすることが、悲しい結果に繋がるのを身を持って知っていたからです。

僕には大切なチビっ子がいます。この子にも同じように楽しみながら経済を学んで欲しくて、あるアイデアを試してみました。うまくいったらまたブログでご報告します:)

書きました!:5、6歳の男の子に楽しく我慢を教えてあげる方法【子供しつけ】

追記

現在「魔肖ネロ」がどのくらいの値段で取引されているか、ちょっと気になったので調べてみました。Amazonで探してもなかったのでヤフオクを覗いてみたところ、79,800円スタートの即決130,000円というとんでもない価格で取引されていました。オソロシイ( ゚Д゚)

お手軽に手に入れる方法はないか探してみたら、丁度リニューアル版のビックリマン伝説というのが発売されていて、第6弾に「魔肖ネロ」が入ってるみたいです。

当時の「魔肖ネロ」ではないのが残念ですが、10年後にはそこそこの価格で取引されてたりするんでしょうか。下心満載でちょっと買ってきます(^ω^)

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